北陸の名峰・白山 Day 1
- 2019/08/30
- 21:56
:古の人々を魅了した霊峰、その魅力の一片を知る山旅へ
8/6~7
古くは越白嶺「こしのしらね」と呼ばれ、現在でも白山周辺の地名として白峰という呼び名が残り
『はくさん』ではなく、『しらやま』と呼称する時期を経て現在の白山となった。
この山の歴史は717年(養老元年)にまで遡り、 泰澄上人が開山し
832年(天長9年) - 越前・加賀・美濃の三方から白山への登拝道(禅定道)が開かれたことにより
修験道の山として山岳信仰(白山信仰)の対象として崇められた。
1668年(寛文8年) - 江戸幕府が地元の藩主から白山周辺の土地を取り上げ直轄領としたが
1871年(明治4年)8月29日 - 廃藩置県が行われ、その翌年に白山周辺の土地は石川県に属するようになった。
なぜ人々をここまで魅了するのか?なぜ霊峰として崇め奉られるのか?
人伝に聞くこの山の魅力を自身で身をもって体験したく今回訪れてきました。
さて今回は石川県は金沢へ、白山登山に向かうため渋谷マークシティ5Fの高速バスターミナルにやって参りました。
このバスは登山専用ではなく東京ー金沢間を定期運航する夜行バスで22時45分頃渋谷を出発し、翌6時前に金沢駅東口に着く加賀温泉行バスです。
そして、白山登山口である別当出会までは金沢駅東口にて約10分ほどの接続で発車する
北鉄バス運行の路線バスの別当出会行に乗車して約2時間で登山口に到着という算段です。
大人の事情で3列シートなワケです。
要するに4列シートはオッサンにはキツイって・・・
バスは定刻よりも少し早く金沢駅東口に到着しました。
弧を描くような金沢駅東口のバスターミナルの1番乗り場に「別当出会」行バスが接続しています。
出発後、約1時間ほど走ると道の駅「しらやまさん」にて休憩。
やはりいくら路線バス扱いとはいえ長距離と乗車時間の長さから休憩を挟みます。
路線バスですが、その佇まいは観光バスですね。
石川県の鶴来、白峰の山間部を抜けたバスは定刻通り「別当出会」に到着しました。
登山指導所の事務所脇には水場もトイレもありますので、登山者の方々はここで身支度を整えています。
もちろん登山届の提出も。
バスはここで4時間ほど休憩し、12時頃発の金沢駅行となります。
8時25分、国立公園入口から白山登山スタートです。
と、ここで不思議なことが起きました。
スマホを動画撮影モードにして自撮りにて「これから行ってきます!」と録画したところ・・・
録画した動画の最後に「行ってらっしゃーい」の声が。
SNSにアップした動画を見てくれたお客さんからの指摘で判明したのですが、そのお客さんと再度確認したところやはり薄ら「行ってらっしゃーい」の声が。
実は、この白山登山の計画はもう少し前に実行する予定だったのですが、登山の数日前に自宅で飼っていた愛猫が急死してしまい、流石に山登っている場合じゃないということで計画自体を延期して今日に至ります。
行きたかったのが霊峰で、たった3年の命でしたがとても大切なものを届けてくれた愛猫が虹を渡ってしまった。
これはやはり白山は是が非でも行きたいな・・・そんな思いで今回訪れましたので、この声は愛猫だったのかも?
なんて都合よく解釈しました。
でもホント、この後しばらく、とても不思議で理屈では説明がつかず、何かの力が働いたと感じる出来事が多数
身の回りに起こるんです。
:白山最高峰・御前峰へのアプローチ
さて、気を取り直しまして(笑)
正面に吊り橋が見えてきました。
スタート直後ではありますが、さっそくルートの分岐です。
左に向かうと観光新道へ入り、白山山頂直下にある白山室堂という完全予約制の山小屋へ直通ルートです
正面吊り橋を渡ると砂防新道へ入り、中腹の南竜小屋経由の白山山頂ルートとなります。
今回わたしは、山域唯一のテント場がある南竜小屋が最初のチェックポイントとなりますので直進します。
上下に揺れないで左右に揺れる若干気持ち悪い吊り橋を渡っています。
県内屈指の暴れ川である手取川水系の上流にあたるこの地では被害の拡大を防ぐための治山・治水工事が徹底されています。
石畳のように整備された登山道で危険個所はありませんが、決して楽でもありません。
中飯場に到達。
一説によると砂防工事に従事する方たちが昼食によく使った場所なんだとか。
整備が行き届いているから一瞬忘れてしまいますが、ここも結構な山奥です。
ここにはトイレと水場があり、登山開始直後によくある
最近ぜんぜん体を動かして無かったから最初の一時間がキツいんだよね~問題を解決してくれるオアシスです!(笑)
休憩もそこそこに登山再開。
花の宝庫白山。
外来種を持ち込ませない、固有種保護の観点から登山者の靴裏にまで気を配ります。
日本百名山のみならず花の百名山としても全国にその名を轟かす山はやはりそれなりの対策を講じています。
甚之助谷砂防堰堤群が見えてきました。
近代以降荒廃の著しい白山から下流域を守り続ける、日本で最古級の階段式砂防堰堤群。
丁寧な解説のテキストがあり、さながらビジターセンターの資料コーナーでした。
こんなところにも白山国立公園の意気込みが感じられます。
おっと、忘れてはいけませんがここ白山は火山なんですね。
白山はランクCの活火山で、山頂部には約15個の爆裂火口があります。
一部が翠ヶ池などの火口湖となっていて翠ヶ池の南隣りには比較的新しい鍛冶屋地獄火口が。
現在から直近の噴火は1659年の噴火で、この時に形成されたものと考えられています。
夏の樹林帯はとにかくキツイ。
上部に見える稜線は、登山道入り口付近で袂を分けた観光新道のルートです。
とにかく暑い!
なかなかの急登でしかも風の通らない樹林帯をゼィゼィ言いながら登るとなにやら人々の気配が・・・
甚之助避難小屋に到達です。
やっと風が抜ける~
収容人数は15人の避難小屋。
水場もしっかりありますので補給します。
避難小屋を後にしてルートに復帰後、しばらく登ると分岐が。
直進すると上部で観光新道と合流して山頂へ。
右へ入ると南竜小屋へと向かいますので、ここは右へ。
暑さからくる地獄の樹林帯&急登からやっと解放され、緩やかなトラバースを進みます。
眼下には先ほど水を補給した甚之助避難小屋がみえます。
これだけ登ってきたということですね。
ここからの道は本当に最高でした。
嫋やかな、実にやさしい、白山の懐を体感。
こんな道ならいつまでも歩いていたいと思わせる幸せな登山道。
ニッコウキスゲ
ミヤマアキノキリンソウ
ハクサンフウロ
オオハナウドかな?
イブキトラノオ
小川を渡る演出が人工のものではなく、「山」本来の形なのだから感嘆。
人間の都合で出来たものじゃないから辛い場所も危険な場所も多いです・・・
しかし、こんな光景・偶然できた地形を見せられたら、やはり山が辞められなくなります。
実に牧歌的な光景の先の南竜小屋は、まるでスイスの本場アルプス?
南竜ヶ馬場野営場の宿泊手続きは南竜小屋で。
受付のおばちゃんの・・・やる気がないのか?不貞腐れるのか?嫌なことでもあったのか?・・・な、
微妙な対応に、やはりここはスイスではなくて日本の北陸地方の一端なんだなぁ、と
ちょっとがっかり。
まぁ、南竜小屋自体が財団法人・白山市地域振興公社の運営だから甘えがあるんだろうね。
山小屋の運営だけで生計を立てていてサービス業の一端を担う気概がある北アの小屋とはやはり比べちゃいけないか。
サクッと今宵の寝床を確保。
超軽量のソロテントを持参してきました。
軽い分、中も超狭いです(笑)
テント場から見た南竜小屋はやはりスイスのアルプスそのものだった。
あの
:準備を整え、霊峰の頂へ
テントも設営し終わり、貴重品とカメラ、ファーストエイドと水をトレランザックに詰め白山山頂を目指します。
小屋からは最短となるトンビ岩コース。
最短ということは急登でキツいコースだということは数年の登山歴に中で体感しているので感覚的にわかります。
南竜小屋母屋の脇を抜け
小屋裏を登り詰めます。
急登の途中にはチングルマの群生が咲いていたり
ハクサンイチゲに癒されたり・・・苦しすぎてそれどころじゃなかったり・・・
やっとの思いでコース名となっているトンビ岩まで
この時は知る由もなかったのですが、このトンビ岩まで到達してしまえば後は実に嫋やかな
白山らしい女性的な素晴らしい登山道が待っています。
しかし、トレランなんかで疑り深くなっているわたしは、ここまでの急登も相まって、
「どうせ偽ピークなんでしょっ!」「まだまだ辛く当たるんでしょっ!」って悪態ついてましたスミマセン。
若干、熱中症ぎみになっていた身体はこの雪渓から流れる小川で顔と首筋、手を冷やすことで生き返りました。
豪雪地帯の山岳域には必ずあるケルン。
実に嫋やかな白山の懐に入ったようです。
天空へ向け登山道を往きます。
そして見えてきた、白山・御前峰の麓に鎮座する白山室堂ビジターセンター。
建屋の周りはさながらお花畑です。
夏でも雪渓の残る白山上部は水も豊富で山小屋にもかかわらず蛇口で水が出ます。
白山室堂ビジターセンター。
ビジターセンターでありながら、御前荘・こざくら荘・くろゆり荘・白山荘を併設し750名もの登山者を収容可能。
完全予約制で詰め込みは一切しないのだとか。
午後の時間帯、続々と到着する登山者の宿泊手続きに追われるフロントはさながらホテルですね。
白山・御前峰の直下には白山神社奥宮が鎮座していて、やはりここは信仰の山で修験者の聖地なんだと痛感。
と、ここで轟音を轟かせ、なにやら超低空でセッキンスルモノアリ。
ん?
ん?
戦闘機?
敵機襲来!!
この爆音とスピードはやはり戦闘機。
後日詳しい方に画像を見ていただいた結果、航空自衛隊のF2戦闘機ではないかと・・・
見ているこちらが怖くなるほどの低空で御前峰を2周し谷間に消えていきました。
意外と航路って自由なんですね。
足元にはイワギキョウ。
踏まないように。
振り返る白山室堂。
さながら楽園に立つ宿泊施設ですね!
クルマユリ
とにかく花に癒されます。
ハクサンフウロ
先ほどの航空自衛隊と思われる戦闘機の航路の意味が分かりました。
たぶん、小松基地所属の隊員たちが恒例行事なのか、白山登山をしていました。
この隊員への陣中見舞いでしょうかね。。。
白山・御前峰山頂直下の鎮守へと到達。
:霊峰・白山 その頂には理屈では説明のつかぬパワーが宿っていた!
白山最高峰・御前峰に到達です。
来たよ!遠かったぁ。
御前峰から火口である”お鉢“を拝観。
火口湖であるお池巡りに向かいます。
やはりここは火山であると言わんばかりの荒涼とした登山道を降ります。
見下ろしていた紺屋ヶ池のそばまできました。
まだ雪渓も残っています。
こちらは崩落が進み立ち入り禁止の剣ヶ峰。
見上げるのは先ほどまでいた御前峰山頂。
つまり今わたしは火口の中から鉢の淵を見上げているワケです。
これって結構すごい所にいて怖いことでもあるよなぁ・・・
なんて呑気に考えていたら・・・・・・
もっと怖いことが・・・・・・・・・・・・・・・
ん?
ん?
ん?
く
くま?
熊さんなの?
えぇ~?! 熊じゃん!!
リアルツキノワグマじゃ~ん!!
しかも、こっち向いて突進してくるし~~~~
ハァハァ(;
翠ヶ池(みどりがいけ)
1042年の噴火で形成された火口湖で岐阜県側にある周辺で最大の池。
とにかく池とその先に広がる景色か絶景です。
荒々しい噴火口の内側。
こちらは雪渓の残る大汝峰。
血ノ池
千蛇ヶ池
大汝峰を振り返る。
ハクサンイチゲとミヤマキンポウゲの競演。
噴火口とは思えないお花畑感!
まだまだガッツリ雪渓も残ります。
岐阜県側の山並みもまた素晴らしいですね
白山山頂の火口鉢内をぐるっと周って白山室堂の左手に出てきました。
ここはコバイケイソウの群生が見事!
雪解けの水が豊富な場所には豊富な花ありですね。
御前峰を周りこんで下から見上げます。
ココが山の上だということも、日本国内だということもしばし忘れてました(汗)
最近改装を終え営業を再開した雷鳥荘も白山室堂敷地内にあります。
収容21人、自炊は不可。完全個室タイプのみの宿泊施設。
さて、白山御前峰と白山室堂を辞去し展望歩道なる北アルプスの大展望が望めるルートにて南竜ヶ馬場へと帰還します。
このルートもたとえ北アルプスの展望が望めなかったとしても十分満足感を感じられる登山道ですね。
振り返ると白山・御前峰の嫋やかな山容が!
本当に何度見ても、実際登っても素敵な山だなぁ。
眼下に湖を見ながらの下山。
アルプス展望台なる場所に到達。
南竜ヶ馬場野営場にテント泊する場合、谷間に位置するキャンプ場なため日の出は拝めません。
なので、どうしても日の出が見たい!という方は早朝夜明け前にここまで登ってくるとご来光が望めます。
午後の雲となってしまい北アルプスを望むことは叶いませんでした。
これは明日の縦走時に宿題回収させていただきたいと思います。
下山の登山道が見えて、その先に今宵の我が家があるキャンプ場を視界に捕らえました。
こういう光景が見られる山っていうのもなかなか無いんですよね。
実に牧歌的で嫋やかな包容力のある、まさに母性の塊のような山で登山道で、
とにかく歩いている時の安堵感が他に無いくらいの不思議な感覚を覚えます。
そのぐらいこの山が秘めている力が凄いのでしょうね。
南竜小屋、南竜ヶ馬場野営場へと戻ってきました。
先にここへ到着してテント泊の受付時に、こうなることを予測してビールを買って野営場前の小川にて
天然冷蔵庫を利用したキンキンに冷えたお疲れビールを仕込んでおきました!
あの受付の
急に笑顔になったりして、、、
なにはともあれ無事に白山登山大成功!
おつかれさまでした。
明日は白山のお隣に位置していて、それこそ白山を一望するためにあるんじゃなかろうか?と
白山フリークに言わしめるほどの眺望を誇る「別山」へと向かいます。
明日に備えて!
お湯を沸かして15分で食べられる
アルファーな米で英気を養います!
こんなひもじい夕食でも楽しくて美味しく感じるから
登山っていうスパイスは超絶万能ですね!!
DAY2へ続く
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