北陸の名峰・白山 Day 2
- 2019/08/31
- 21:00
:古から続く信仰の山を俯瞰で大展望する

石川県の名峰・白山で迎えた夜は満天の星空と天の川が燦然と頭上に輝く幻想的な時間となりました。


おはようございます!
白山縦走2日目でございます。
『Day1の模様はコチラから・・・』
時刻は午前5時前です。
今日は白山・南竜ヶ馬場野営場から尾根続きでつながるお隣の別山まで縦走して、縦走路の途中にある下山路までUターン後に市ノ瀬に向けて下山します。
12時頃に別当出会を出発した金沢駅行のバスが次に停まるのが市ノ瀬。12時15分頃が目安となりますので、少し余裕を持って下山後、市ノ瀬ビジターセンター脇にある永井旅館さんにて日帰り入浴を済ませたい計画です。

ここの野営場は谷間に位置していますので日の出の時刻は若干遅めですが、ヘッドライト等が無くても目視できるほどには明るくなってきました。
いざ、出発です。

キャンプ場を後にすると谷間にできた台地を進みます。
北アルプスの秘境みたいで歩いていて本当に気持ちがいい。

台地を過ぎると鞍部に見える沢まで降下します。
この沢が稜線上で唯一の水場となりますのでキャンプ場で補給していない場合はここが最後の水場となります。
なだらかな稜線というイメージでしたが、実際に歩くと結構な距離感と高低差、日差しの強さも相まって水分の携行は多すぎて困ることはありません。

鞍部を登り返して南竜ヶ馬場方面を振り返ります。右側尾根の奥がキャンプ場です。

キャンプ場のあった台地よりも高い標高まできましたが、Sの字にクランクしてきているので未だ南竜小屋とテント場は確認できません。

ルート上では左後方を振り返ると、だいぶ周りこんで標高も上がってきたことにより南竜小屋が視界に入ってきました。

南竜小屋のちょうど真上に白山・御前峰山頂が見えますね。
小屋後ろの急登が昨日登りで使って苦しめられたトンビ岩コースです。

朝日を浴び始めた白山山頂部。今日、白山室堂に宿泊された方々は大勝利でしたね。

日が昇る方向、ここらは東に目を向けると北アルプスの象徴的なシルエット、槍ヶ岳から続く大キレット、穂高連峰がはっきり確認できました。
これで昨日の展望歩道の宿題が提出できましたね。

これから向かう別山方面は理想の稜線。それなりにアップダウンがあって楽な道ではありませんが、それでもこんな稜線の縦走ができれば山登り冥利に尽きます。

稜線上で振り返るとそこには嫋やかなる白山がずっと見守ってくれているよう。

稜線上にはこんな池も。小道ができているので池の畔まで降りられるようです。
このロケーションですから勝手に幕営=ヤミテン「キャンプ指定地以外での野営(ビバークは除く)」しちゃう方も多いのだとか。

今歩いてきた稜線とその先に連なる白山。もうこの辺りでは何度も振り返って白山を眺めていました。

縦走路から見て左前方には御嶽山が。若干の噴煙が上がっているように見えますが、あのつらい記憶の噴火から今まさに再起しようとしている山です。規制も解除されつつあり、関係者様のご尽力により噴火のリスクも最大限排除されるような策が講じられているそうです。

何気にこんなトラバースが結構怖いのです。通過後に振り返って撮影しました。
ズルっと行ってしまったらどこまで転げ落ちるか分からないくらい転げ落ちそうな斜面でした。

コシジシモツケソウかな?

ちょっと自信ないけど、ピンクに目を奪われて夢中でパシャリ!

北側、富山立山方面の眺望。こんな景色に遭遇するたび、ここ日本列島は山岳域の上に成り立った列島なんだと実感します。

中央左が乗鞍岳、正面は御嶽山。

別山まではまだもう少しかかります。幾度もピークを越えては降り、鞍部を抜けると登り返し。
このアップダウンが縦走の醍醐味であり真骨頂。焦らず気負わず自分のペースで・・・

ニッコウキスゲが咲き誇るトラバースを往く登山者。
夏のこの時期限定の賑やかな登山道。

白山室堂とほぼ同じ標高を移動中。

別山まであと400mの地点まで到達しました。もっと歩いていたいような、別山からの白山を拝んでみたいような複雑な気持ちになるほどの贅沢な縦走路。季節や天候もあるとは思いますが、こんな気持ちにさせてくれる登山道もなかなかありません。

別山はもう目と鼻の先。ここは下山で市ノ瀬に向かうために使う予定のチブリ尾根との分岐手前。
別山登頂後はこの先へ戻ります。

眼下に見える白く地面が露出したところが市ノ瀬です。
下山はあそこまで降ってバスに乗車します。

中央の別山まで続く登山道が素敵すぎて若干ゆっくり歩いてみたり(笑)

別山山頂直下に鎮守する別山神社。
:白山を展望するための“スーパーサブ”別山

白山中腹の南竜ヶ馬場野営場を出発して約2時間、別山山頂に登頂です。

雄大な白山の頂と、歩いてきた縦走路。ここ別山はまさに白山を俯瞰するために存在するような山でした。

白山登山の際はぜひ、時間の許す限り別山への縦走もお勧めします。

そしてこの別山、白山の眺望のみならず後ろ立山連峰から飛騨山脈の主稜線の全線、御嶽山に至るまでの日本を代表する山岳地域をすべて遠望できるなんともスペシャルな頂でした!

別山神社と別山山頂の位置関係はこんな感じになっていまして、とても静かで癒される山頂です。

こちらはさらに福井県側に進む縦走路です。眼下に見える台地は別山平と言われここもまた素晴らしい場所だと人伝に聞きました。
この稜線は石徹白道(美濃禅定道・南縦走路)として、石徹白の大杉を経由して白山中居神社まで降る禅定道となっています。

福井県側に伸びる美濃禅定道。古の修験道です。いつかは歩いてみたですね。

白山市方面の街並みも見えています。

別山山頂標識越しの白山。白山を愛でるためにある最高の特等席。

そろそろ市ノ瀬へと下山する時間になってきましたので先ほどの分岐まで戻りますが、戻りはずっと白山が目の前に。
見るなと言われても必ず目に入ってしまう幸せなトラバース。

チブリ尾根への分岐へきました。ここからは急坂&樹林帯への突入となりますので、これだけの圧巻な白山の眺望は最後になります。とにかくお礼しか思い浮かばず、「ありがとうございました」を連呼していました。
:長い長い下山の道はまさしく修験の道 9kmに及ぶ降り一辺倒を往く

チブリ尾根。
このザレた急坂を降って下山を開始します。

チブリ尾根から別山方向を見ると、今降ってきたトラバースルートと別山山頂がくっきり。
こちらにも「ありがとう」「ありがとう」と何度もお礼を口にしていました。
別山、本当にありがとう!

ザレた急坂と樹林帯の根っこに悪戦苦闘しながらやっとチブリ避難小屋が視界に入ってきました。

チブリ避難小屋。
市ノ瀬まではあと6.6km!(涙)

水場などは無い避難小屋でどちらかというと冬季の為の避難小屋のような感じがしました。

高山で暮らす野鳥たちのご馳走、ハイマツの松ぼっくり。
野鳥たちがこれをもぎ取って食べることで、その食べ残しが新たな新芽を生むという自然界の輪廻の法則。
なんだか崇高な自然界の営みを肌で感じます。

長かったチブリ尾根を脱し、治山治水工事の為の林道へと飛び出しました。
ここまで来ればあと一息です。

このゲートが見えたら市ノ瀬はもうすぐ。
ちなみに今歩いている林道は工事用車両の大型車がバンバン通りますので前後に注意が必要です。

市ノ瀬ビジターセンターに到達!
帰りのバスは別当出会を出発後、次の停留所がここ市ノ瀬です。

市ノ瀬ビジターセンターの目の前にある永井旅館さんで日帰り入浴のお世話になります。
学生さんの合宿地にもなっているようでビジターセンター周辺は夏の活気に満ち溢れていました。
:白山に呼ばれ、白山を受け入れた今回の山行を振り返る

定刻通り金沢駅行のバスが到着して帰路につきます。

バスは予定時間よりも早く金沢駅に到着しました。
バス車内で今回の山行を振り返りながら、石川県の白山市や野々市市の風景を流れ見る・・・・・
なんだか下山後も夢のような時間が流れて、山登りってその山に登るだけじゃなくてそこの風土や人々の生活の営み、歴史、いろんなことに触れられるジャーニーなのかもなぁ・・・・・バス車内も一人幸せモード全開で帰って参りました(笑)

かくして、古より人々の信仰心を支えて今日に至る霊峰白山への登山記は終了します。
山をやる方々から必ずと言っていいほど人伝に聞く「白山はいいよ!」という言葉の意味を体感してきました。
実際に登ってみて感じたことや漠然とした感覚と体験の記憶をブログに記しながら、もう一度自分でもこの時の不思議な感覚を再確認する作業を行いました。
結果、わたしの少ないボキャブラリーで申し訳ないのですが・・・・・
この山には、なにかいる!
なにか目に見えない力があって
なにかを感じさせ
どこかへ導いてくれる・・・・・
そんな感覚だけが残りました。

帰路は自身お初の北陸新幹線・「かがやき」にて。
わたし個人としては大満足のうちに幕を下ろした白山登山となり、精神的な部分で得るものが大きかったように思います。
古の人々がこの山を信仰の対象としたことにはやはり意味があって、今よりも遥かに情報の少なかった時代、人々は自分たちの直感や第六感を研ぎ澄ましてこの山を選定し研鑽を積んだのでしょうね。
そんな古の人々の礎に少しだけも触れられたことが今のわたしにとっては大いなる収穫でした。
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